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沢木耕太郎作「旅する力」を読んで感じたこと

沢木耕太郎作「旅する力」を読んで感じたこと

エッセイ

著者沢木耕太郎さんの「旅する力」は、あの香港からロンドンのユーラシア大陸を乗り合いバスで横断した「深夜特急」のあとがきとして刊行された本になります。
この本を購入するきっかけは、BOOK OFFでお取り寄せをしていた作品を受け取りに店舗に赴き、ついでにそのときに気になった本のなかの1冊として購入しました。
なんとも「運命」を感じる出会いとなり、感慨深いです。
ちなみに私は「深夜特急」を読んだことがなく、これを機にこれから読みます。

人との出会いの大切さ

この「旅する力」では、とにかく人との出会いとそのエピソードが、「深夜特急」で描かれた香港からロンドンまでの旅の敢行、ならびに旅の道中の経路変更をもたらしていることを綴っています。
さらに「深夜特急」の執筆も人の助言によるものであったことが、何より驚かされます。
その出会いは偶発的なものもあれば、沢木さんご自身の自発性によるものがあり、さらにそのなかの会話から導かれる「後に運命を決める答え」も、やはり自発的にコミュニケーションを取った結果によるものであると読み取れます。
つまり、積極的に人と出会い、そこで付き合って、会話をして何かを得る。
至極当然の行いのように感じますが、果たしてそのような行動ができる人が、多くいるのでしょうか。
私は今まで積極的に出来なかったし、逆に人からも話しかけられることがなかったです。
その事実から、積極的に人に話しかける、そこで2、3の会話できる人は稀有な存在であることが分かります。
もう少し積極的に人に話しかける、対話してみようと感じました。

人生の年代ごとの有限性

香港からロンドンまでのユーラシア大陸横断は、誰しもができない経験であるとともに、そこで多くの経験と感情の揺さぶりを体感する年齢にも制限があると綴っています。
その旅の適齢期は26歳ころと説いていて、それは世界のことをあまり知らないことと、ある程度自立できることが条件で、人としての未経験と、人としての経験済みのバランスが丁度よい頃合いが26歳であると綴っています。
また、そのユーラシア大陸横断の体験談を、沢木さんが40歳を超えた旅人に話すと「私もそのような体験をしたかった。もうすでに遅い。」と答えたことが印象的です。
人生の有限性を考えるとき、一般的には寿命までの時間を思い起こしますが、年代ごとにも有限性があることを感じます。
つまり、20代、30代、40代...でしか味わえない感動、体験でしょうか。
そういった意味でも、やはり時間は限られています。

さあ、旅に出ますか

旅に出ると、自分を試されている感覚に陥ると綴っています。
あらゆる状況において、そのシーンで決断を迫られる。そこで、苦い経験を味わうこともあれば、嬉しい経験も味わうことになる。
ただそこには、ネガティブなことは一切ないと読み取れます。
全ては「人生の経験」となって消化するに過ぎない。まさしく「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」に通じる「思い出作り」でしょうか。
一方で、旅に出る前の億劫さにも触れていることが、より人間味があって素敵に感じます。

最後に

この本の文体は始終、沢木さんから表れる温かみを感じることができます。
「恐れずに、しかし気をつけて」というメッセージそのままに、後押ししてくれる優しさを感じることができる、とても素敵な本でした。