
ミスチル「CROSS ROAD」を聴いて驚いたメロディの表拍と裏拍を意識させる表現
Atomic Heart
ミスチルの初期、あるいは売れ出した時期の楽曲を聴く機会がミスチルファンならあるかと思います。
僕はあるミュージシャンがデビューされたり、売れ出したときに「ミスチルのその時期を聴いてみよう」と思い、昔の楽曲を聴くことがあります。
最近もそのような状況があって、改めてミスチルが社会に認知されるきっかけとなった4枚目のシングル曲「CROSS ROAD」を聴いてみると驚きと感動があったので、そのことについて。
※僕は音楽理論について詳しく分からないので、この記事の内容に信憑性がないことをご承知おきください。
表拍と裏拍を意識したメロディ
「CROSS ROAD」を改めて聴くと、1番の2回目のAメロで田原さんのサイドギターが入り、そこで裏拍を意識したリズムギターであることがわかりました。
裏拍とは
裏拍とは、とらえやすい表拍の間にある拍のことです。
例えば「1、2、3、4」と表拍があったら、「、」のアクセントが裏拍です。
人によっては「、」の部分を「と」呼び、「1と2と3と4と」という感じで裏拍を表現する人もいます。
つまり表拍と裏拍の部分は交互にくるということです。
また手拍子で例えると、手を打った後の休みの部分にあたります。
引用:【裏拍は必須項目】そもそも裏拍ってなに?簡単な練習でコツを掴めば習得できる!
Aメロで裏拍のメロディを歌う
田原さんがなぜそのリズムでギターを弾いたのかを考えると「そもそもメロディが裏拍を歌っているからでは」と仮説を立て、改めてメロディのリズムとアクセントに注意して聴いてみると、Aメロのこの部分のメロディは表拍にアクセントをつけています。
※アクセント部分が分かりやすいように敢えて平仮名で示します。
とおいきおくのなかにだけ きみのすがたさがしても
もうもどらない でもわすれない
でも最後のここで裏拍に転じます。
いとしいほほえみ
特に「ほほえみ」では連続で裏拍にアクセントをつけています。
Bメロでも裏拍のメロディを歌う
そのAメロが終わりBメロに展開すると、今度は表拍にアクセントをつけます。
まふゆのひまわりのように
ここで面白いのが「ほほえみ」で連続で裏拍を意識させた後、Bメロの始めでは表拍を連続でアクセントをつけてる点です。
それでもBメロの最後ではAメロと同様に裏拍を意識させます。
もういちどつかまえたい
この裏拍に「つかまえたい」という人間の願望を歌詞につける点が秀逸ではないでしょうか。
通常なら表拍の強いリズムに願望の歌詞を組み合わせるとより伝わると考えますが、そうでない点が「叶わぬ夢」を表現してるようです。
サビでは表拍と裏拍を交互に
サビは楽曲の印象として残る箇所で、さらに強いメッセージを発する箇所でもあるので、必然とメロディはリズムの表拍にアクセントをつけるのではないでしょうか。
「CROSS ROAD」でも同様ではありますが、面白いのがAメロとBメロの技法を基に裏拍にもアクセントをつけている点です。
サビの始めのメロディは表拍に強いアクセントをつけています。
そこではBメロの最後で裏拍を意識させてから一転しているので、より強さが伝わるのではないでしょうか。
だれもがむねのおくに ひめたまよいのなかで
でも次には裏拍を意識させます。
てにしたぬくもりを
まるで熱い想いを鎮めるが如く、強弱をハッキリとつけるが如くです。
そしてまた表拍を意識させます。
それぞれにだきしめて あらたなるみちをいく
表拍と裏拍を交互に意識させたサビのメロディは最後の着地でどうするのでしょうか、それは表拍でした。
Wow yes, wow yes, ooh ooh
ここが裏拍だと何とも煮え切らないサビとなりそうです。力強さを残したままサビが終わります。
「innocent world」ではもっと複雑なメロディ!?
「CROSS ROAD」の次のシングル曲「innocent world」のサビは、表拍と裏拍をもっと巧みに使い分けているように聴こえます。
「innocent world」はミスチルの楽曲、もっと大きく括ると邦楽史上でも上位に入るほどに、サビのメロディのアクセントが強いのではないでしょうか。
サビの序盤から終盤にかけて、何の迷いもなく表拍にアクセントをつけています。
いつのひも このむねに
ながれてる メロディー
かろやかに ゆるやかに こころをつたうよ
ひのあたるさかみちをのぼる そのまえに
ただしこのままで終わらないのがミスチルたる所以でしょうか。
「CROSS ROAD」のサビ同様に裏拍を意識させますが、区切りが悪いという点で少し複雑さが増しています。
ここまでは表拍にアクセントをつけますが
またどこかで あえる
次にはサビで初めて裏拍を意識させます。しかも「CROSS ROAD」同様に願望を歌詞につけた箇所で。
といいなー イノセント
最後は表拍を意識させて終わります。
ワールド
「CROSS ROAD」と同様に裏拍を意識させたメロディに、敢えて願望を表す歌詞をつける点が興味深いですね。
時間が止まった感覚になるメロディ
「innocent world」の感動的な場面として、最後のサビの最後のメロディが挙げられます。
陽のあたる坂道を昇る その前に
また何処かで 会えるといいな
その時は笑って 虹の彼方へ放つのさ
イノセントワールド
果てしなく続くイノセントワールド
ミスチルの楽曲の中でも異彩を放つ展開とメロディで、アウトロが流れるなかで大団円を迎えようとしてます。
そのメロディのなかで個人的に時間が止まったような感覚になるのが「その時は笑って」で、その箇所は裏拍にアクセントをつけてます。
そのときはわらって
ここで表拍にアクセントをつけるとどこまでも突っ走るメロディとなり、聴き手にとってはむしろ煩わしさを感じてしまうのかもしれません。
この長いメロディにひと休憩を入れるかのようなメロディは、まるで1度立ち止まる感覚になります。
それがあって次の展開でより飛躍させる、そんな技法ではないでしょうか。
最後に
既に存在しているメロディと歌詞に対して表拍と裏拍を意識させるのは、僕のように音楽素人でも比較的簡単なことです。
ただし、それをゼロから作詞作曲するとなると頭が混乱しそうで、それを見事に楽曲として成立させている点が音楽家たる所以です。
さらに表拍だけを意識させれば良いという安易な作曲方法でないことも知って、表現の幅の深さとミスチルの凄さを再確認しました。
