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ミスチル「箒星」の歌詞は倒置法で紙芝居のように展開するから面白い

ミスチル「箒星」の歌詞は倒置法で紙芝居のように展開するから面白い

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2006年7月5日に28枚目のシングル曲として発表された「箒星」は、楽曲アレンジと歌詞の関係性を紐解くと面白いことが分かったので、そのことについて。

楽曲アレンジと倒置法

「箒星」を何度も聴いていれば、その歌詞の内容について理解できますが、初めて聴いたときはその歌詞の内容を理解することが難しいのではないでしょうか。
その要因は歌詞の文脈が倒置法で、かつ楽曲アレンジがメロディとメロディに間を空けるからだと思います。
それらが楽曲全体で表現されています。

1番Aメロ

例えば

寝れない日が続いて かすれた僕の声が はしゃいでる
君の気持ちを曇らせた

で、「はしゃいでる」のメロディの後に間を空けています。
ここまで聴くと「僕の声はかすれながらもはしゃいでる」と解釈するのではないでしょうか。
それが次で「君の気持ちを」と続くので、はしゃいでるのは君だということが分かります。
さらに倒置法なので、本来の書き方としては「はしゃいでる君の気持ちを寝れない日が続いてかすれた僕の声によって曇らせた」ではないでしょうか。
そうすると原因と結果が明白です。

1番Aメロ

さらに

「別にそれほど疲れていやしない」
なるたけ優しい言葉 慌てて探してみる

この歌詞の解釈も難解で、「別にそれほど疲れていやしない なるたけ優しい言葉」で区切られるので、歌の主人公の「僕」は彼女にそれを言ったかと思いきや、「探してみる」ということでまだ言ってなくて、ただ考えようとしただけかと。
加えて、この表現は紙芝居のように楽曲アレンジが歌詞と歌詞とで区切られているので、次の歌詞「慌てて探してみる」を聞かないと結果が分かりません。

1番サビ

「箒星」のサビで共通として言えるのが、文脈を最後から読むことで歌詞の内容が分かるということです。
それは英語の文法に似ています。

目を瞑っても消えない光 君の心に見付けた
すぅーっと 優しく淡く弧を描いて
頬を撫でてく「箒星」

何度も聴いている方なら意味は分かるかと思いますが、この歌詞を伝えたい内容そのままの文脈に変換すると「君の心に見付けた 目を瞑っても消えない光 箒星がすぅーっと 優しく淡く弧を描いて頬を撫でてく」です。
ただし歌詞は、それらの文法を崩して形成してるので理解が難しいです。

2番Aメロ

2番に展開しても楽曲アレンジと歌詞の関係性が面白いです。

教えない 知り過ぎてるから教えない
口に出すと悲しみは 次の悲しみを生むだろう

「口に出すと悲しみは」の主語で間が空くので、聞き手は「悲しみはどうなるの?」と感じます。
そこで間が空いた後に答えを提示して、まるで紙芝居式です。めくるまで誰も結果が分かりません。
さらにその「間」があるからこそ、その答えがより響いてくるのではないでしょうか。

2番Bメロ

個人的には2番Bメロの表現が1番好きです。

最近ストレッチを 怠ってるからかなぁ?
上手く開けないんだ 心が ぎこちなくて

「最近ストレッチを怠ってるからかなぁ」で区切られます。
次に聴き手は何を想像するでしょう、僕は身体が固くなったのだろうと予測しました。
そこで間を空けて紙芝居のように答えを提示します。
そうです、心が上手く開けないと。
この歌詞の展開に意表を突かれた方が大勢いるのではないでしょうか、まさか「心」とは。
それもこれも楽曲アレンジと歌詞の関係が織りなす技法があってのことで、素晴らしいです。

最後のサビ

最後のサビも難解です。

悪いとこばっかり見付けないで 僕ら一緒に探そう
ずっと 優しく淡く弧を描いて
夜を撫でてく「箒星」光り続ける「箒星」

ここで一緒に探すのは箒星ということで合ってるでしょうか。
箒星と悪いこととが対を成してると考えれば合ってますが、個人的にはその関係性を構築できないです。
つまり、桜井さんのなかでは対の関係であるということでしょうか。
※箒星とは(Weblio辞書)

彗星の別称。尾を引く彗星の形を、箒に喩えた呼称である。

最後に

いかがでしたでしょうか。
おそらく桜井さんは意図的に歌詞の構成で倒置法を用いて、文法通りにしなかったのではないでしょうか。
それが悪いということではなく、ひとつの作品として聴き手に驚きと読み解く術を与えてくれてるようです。
加えて、桜井さんのなかで「箒星」と「悪いこと」とが対を成してるのか、興味深い疑問が新たに生まれましたが、果たして。