
トライセラトップス無期限活動休止TOUR24-’25「DEMOLITION&ELEVATION」LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演の感想
LIVE鑑賞
2025年1月10日(金)に東京 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われた、トライセラトップス無期活動休止TOUR24-’25「DEMOLITION&ELEVATION」のツアー最終日のLIVEを鑑賞したので、その感想となります。
| 開催日 | 2025年1月10日(金) |
|---|---|
| 開催時間 |
17:00開場 18:00開演 |
| LIVE会場 | 東京LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) |
| チケット料金 | 指定席¥7,800 |
28年もの歳月を共に歩む
トライセラトップスは1997年7月の「Raspberry」でメジャーデビューを果たして、今年で28年目を迎えました。
そして本日、その28年目でバンド無期限活動休止LIVEを行うことに。
トライセラトップスといえば、和田唱さんの甘酸っぱい歌声に乗せて、踊れるロックミュージックを具現化したバンドアレンジが特徴的で、さらに歌詞はその和田さんの甘酸っぱい歌声をリンクさせていて、若々しさと瑞々しさが特徴的なバンドとなります。
そんなメンバーも最年少の林幸治さんが48歳で、和田唱さんが49歳、吉田佳史さんは54歳となり、もう少しでメンバー全員50歳代のバンドとなる手前で、まさかの無期限活動休止をすることに。
いちファンとしては当然寂しい想いはありますが、その長い歳月を共に歩んできた私自身の振り返りも兼ねたLIVEとなりました。
その想いを含んだ感想となります。
LIVE中盤から終盤に向けて高揚感が増す
LIVEの序盤は最近リリースされた楽曲を中心に演奏されたのでしょうか。(楽曲名やセトリの詳細は分からず)
バンドの放つエネルギーが徐々に昇華していくことに反応するかのごとく、観客も一気にボルテージが上がったわけではなく、むしろおとなしめという印象を受けました。誤解を恐れずに言うと「このLIVEが本当に無期限活動休止ツアーの最終日なのか?」と思ったほどです。
そんなLIVE序盤ですが、中盤から後半にかけてトライセラファンなら誰もが知ってるであろう有名な楽曲を演奏してからは楽曲ごとに高揚感が高まりを感じました。
特に「Raspberry」を演奏してからは圧巻で、それ以降はその観客のボルテージとバンドのエネルギーが比例して高まった印象です。
そのなかで個人的には「GROOVE WALK」に感動して、その「GROOVE WALK」はトライセラに限らず、全てのミュージシャンの楽曲でマイ・ベスト10に入るくらいの楽曲です。
踊れるロックミュージックとしてのアレンジ、楽曲構成。さらに「そんなリズムを求める僕らはYeah yeah yeah」に象徴される歌詞の全てが秀逸で、何度聴いても無意識に乗れます。踊れます。
これほど無意識に乗れる楽曲はレディオヘッドの「There there」、くるりの「World ends super nova」くらいでしょうか。
LIVEで演奏して印象に残った楽曲
次にLIVEで演奏した、特に印象に残った楽曲3選です。
GOING TO THE MOON
トライセラトップスを代表する楽曲です。
和田さんのギターエフェクター「ワウ・ペダル」を利用してのイントロは、1度聴くと印象的なキャッチーなイントロです。改めて考えてみると、邦楽で「ワウ・ペダル」を利用したイントロはあまり聴かないほど珍しい手法です。
トライセラの楽曲の特徴として、和田さんがボーカル兼ギターなので、歌っている最中のギターは必然的にシンプルに構成されます。その分、林さんと吉田さんの役割が重要になるスリービースバンドならではのバンドアレンジが挙げられます。
「GOING TO THE MOON」のイントロのギターと同様に、サビの林さんのベースフレーズが印象的です。カウンターメロディのようなメロディの間隙を縫うそのフレーズは、初めて聴いたときから覚えてしまうほどのキャッチーさがあり、うねりのようなベースラインは聴き応えがあります。
FEVER
前述の「GOING TO THE MOON」と同様にキャッチーなギターイントロで始まります。
そのギターイントロが終わると、ベースはディスコ系のオクターブ奏法を弾きますが、それ以降のギターは和音でコードをただ鳴らすだけのシンプル極まりないフレーズとなります。
アレンジとしてはシンプル極まりないものですが、サウンドに不足感を覚えないところがトライセラの真骨頂なのではないでしょうか。それはリズム隊が縁の下の力持ちたる所以です。
トランスフォーマー
このLIVEが無期限活動休止LIVEということで、セットリストの楽曲を聴くとトライセラの歴史とその当時の想いを振り返る、いわゆる過去にベクトルを向けるものでしたが、この「トランスフォーマー」は唯一未来に向けた楽曲のように感じました。
イントロのグランジロックを彷彿とさせるサウンドから一転して、キャッチーで柔らかい、ひとりの青年の決意表明を歌詞に乗せたポップソングに様変わりしました。その自由自在なコード進行とバンドアレンジもトライセラの真骨頂のひとつではないでしょうか。
僕が欲しい未来地図は
時を遡ったって無いな
本当に変わるべきもの
それはきっと僕さ
トランスフォーマー
バンド無期限活動休止LIVEを鑑賞して25年前にタイムスリップ。そして林幸治さんへの憧れ
トライセラが一躍有名に躍り出たきっかけは1997年に発売された「Going to the moon」ではないでしょうか。
私もその頃にはトライセラの存在を知っていて、それ以降の楽曲、並びに「Going to the moon」以前の楽曲についてもよく聴いたものです。
このLIVEがバンド無期限休止を宣言したからか、未来に向かって発信されるというより過去を遡る空気感を終始漂わせて、それに合わせて25年前にタイムスリップする感覚を何度も味わいました。
25年前はどんな想いで過ごして、何をしていたのか。
そんな当時を思い起こしてみると、私は大学の軽音楽部でバンドを組んでいて、好きなバンドの楽曲をコピーして遊んでました。担当はベースで、まさしく林幸治さんに憧れてた青春時代を送ってました。
そのプレイはさることながら、スラリとした体型と高身長で、楽器「ミュージックマン」を指弾きで彈く佇まいはどのベーシストよりも格好良く、「ああなりたい」とさえ強く思ったものです。憧れです。
そんな「ミュージックマン」はどこへいったのでしょうか。。林さんの手元にはいつの間にかなくなってました。
なぜ活動停止しなければならなかったのか
上述したように、LIVE中盤から終盤に向けて、渋谷公会堂というキャパで埋め尽くされた満員の観客のテンションは異様な高揚感で満ちていました。
それは一方で、その反響にも関わらず、なぜトライセラはバンドを無期限活動停止する決断をしなければならなかったのかと再考せざるを得ませんでした。
無期限活動停止理由として
それぞれ違う世界を見ようと3人で話し合って決断したとのことです
と公式発表されましたが、毎年アルバムを制作して全国ツアーを敢行して、LIVE動員数は渋谷公会堂ほどのキャパを満席にするほどだったら、もしかしたら活動を休止しなくて済んだのかもしれません。そんな邪心も同時に沸き起こりました。
商業としての音楽業界について詳しくは知りませんが、それでも2000年代後半から現在に至るまで、聴き手が音楽を耳にする手段がCDからサブスクに変わったことで、音楽を対価として払う手段が変わり、さらにアイドル全盛の時代において純粋なバンドマンとしての商業が成り立たなくなった。
トライセラと同時期にデビューしたグレイプバインの田中さんが雑誌インタビューで
「売れる楽曲よりバズる楽曲が望まれている」
と話されたとおり、音楽市場の変化は誰の目にも明らかで、その音楽業界で自らがアーティストとして楽曲を世に残し続けられるミュージシャンはこの後も存在するのでしょうか。そんなことを考えてしまいます。
最後の最後まで、時間の許す限りまで
アンコールの最後に演奏する楽曲は、和田さんの
「最後に僕らの楽曲で一番有名な楽曲で」
というMCから推測するに「FEVER」で締めようとしていたのではないでしょうか。
それが渋谷公会堂の閉館時間と生配信の終了時間が差し迫ってるなか、「FEVER」演奏後に3人が舞台前に集まり声援に応えた後、「まだ時間ある?」というジェスチャーから急遽、本当の最後の楽曲を演奏することに。
それが「トランスフォーマー」です。
当初演奏する予定のなかったであろう「トランスフォーマー」の歌詞が、今後の3人、あるいは観客全員の将来を暗示してるようで感動的です。
進めるか やっぱ無理だ
いや進まなきゃ
僕が欲しい未来地図は
時を遡ったって無いな
本当に変わるべきもの
それはきっと僕さ
トランスフォーマー
最後の最後で、当初予定のなかった歌詞が僕らを導き出す。誰もが想像できない、でもそれが予定不調和で作られる芸術だからこそ感動を生む。そんな奇跡に立ち会うことができた瞬間でした。
最後に
トライセラは27年間もの間のバンド活動で唯一無二の楽曲を制作して、LIVEでは多くのファンを楽しませました。
それは形としても記憶としても残るもので、「一方で「自分はどうなんだ?」と思わざるを得ません。
もう27年も経ってしまった。これからの27年間もあっという間であろう。時間は有限であることを改めて感じさせる時間となりました。
あと林さんの虚空を見つめるかのような悲しげな眼差しが印象的でした。