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善き人のためのソナタ

善き人のためのソナタ

ドラマ

とても良い作品でした。
東西ドイツ統一前の東ドイツで、国家保安省(シュタージ)から反体制と目された劇作家ドライマンと、その同棲相手である舞台女優クリスタを国家保安省の局員であるヴィースラーが盗聴器で監視して二人の生活と思想を知ることになります。
さらにはドライマンと親しい仲間の思想、あるいは国家保安省によって芸術活動停止を余儀なくされた仲間も同時に知ることに。
それらの言動からヴィースラーが次第に心を揺さぶられる内容となります。
いち視聴者としては、当時の社会主義国家である東ドイツの内情を垣間見ることができて、日本のような資本主義社会で、民主主義国家では想像し難い社会が映し出されます。

社会主義国家で生きる人々の表情

僕がこの作品が良いと思った理由は、社会主義国家で生きる人々の生活や表情が投影されていたからで。特に国家保安省で働く人々、とりわけヴィースラーの鉄仮面のような無表情が印象的で、自己顕示することを許されなかった社会の果てのような表情でした。
一方で、ドライマンのような芸術家は創作することで自己を表現するので、まだマシと感じたほどです。

東ドイツを舞台にした他の作品でも

ヴィースラーの無表情の演技は単なる偶然か。他の作品で思い起こしてみると、東ドイツを舞台にした映画「希望の灯り」の登場人物もたしかに無表情だったことを思い出しました。
そのため当時の東ドイツ市民の表情を、双方の作品では演技で示したということですね。

ヴィースラーの目で訴える喜び

ドライマンの監視を終えたヴィースラーは、職務を全うできなかったということで左遷されます。
その次の職務は日々に何も変化を生まない郵便物の仕分けと配達で、一層表情を作ることのない生活を送ることに。
ただし最後のシーンで、ドライマンからのヴィースラーへの贈り物を知ったときの喜びを目で表現します。その演技に鳥肌が立った人が多かったのではないでしょうか。

表情を出すことの大切さ

この作品を観ると、人が表情を出すことの大切さを改めて痛感します。

  • リモートワークでの会議で、ビデオ通話するときにカメラをOFFにする
  • 黙々とスマホの画面を見ることに時間を費やす
  • メタバースでアバターとして生活する

などは、人の表情を作る機会を喪失させているのではと感じますが杞憂でしょうか。