
ミスチルmiss youアリーナツアーのYouTube配信を見て感じたこと
miss you
2025年5月2日20時から「miss you」アリーナツアーの最終日、大阪公演のLIVEがYouTubeで「Mr.Children tour 2024 miss you arena tour」として配信されました。
「miss you」アリーナツアーのLIVE映像はまだDVDとして発売されていないため、昨日のYouTube配信が実質初めてのLIVE公開となり、そのLIVE配信を見て改めて感じた、ツアーの特異性についてを中心に書きます。
※YouTube配信は、5/11(日)までの期間限定となります。
なお、私はそのアリーナツアーの2日目のLIVEに参戦したので記事としてしたためています。そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
ミスチル「miss you」2024アリーナツアー千葉公演2日目セトリと詳細レポートと感想
セットリスト
セットリストはアリーナツアーの千葉公演2日目と全く同じでした。
- 叫び 祈り
- I MISS YOU
- REM
- アンダーシャツ
- Everything(It's you)
- 靴ひも
- Fifty’s map ~おとなの地図
- 青いリンゴ
- つよがり
- Are you sleeping well without me?
- LOST
- アート=神の見えざる手
- 雨の日のパレード
- 血の管
- Party is over
- We have no time
- ケモノミチ
- 365日
- 記憶の旅人
- The song of praise
- End of the day
- 未完
- 終わりなき旅
アンコール
- Hallelujah(アコースティックver)
- 優しい歌
- Sign
- in the pocket
LIVE配信の感想
千葉公演2日目のレポートでも同様のことを書きましたが、この「miss you」アリーナツアーは過去最高に近いLIVEであると感じました。ただそれはミスチルのファン歴がある程度長く、楽曲の陰と陽の陰の部分を好む。あるいはアルバム「miss you」が好きな方に向けてのもので、万人にとっての「過去最高」ではないと思われます。
アルバム「miss you」に肉付けするセットリスト
セットリストを見ると、アルバム「miss you」の1曲目「I MISS YOU」から10曲目「ケモノミチ」まで曲順通りにほぼ演奏されていることが分かります。
途中の「REM」「アンダーシャツ」「Everything (It's you)」「つよがり」「血の管」は、良い意味で「miss you」の楽曲に馴染ませた、温度感が似た楽曲のように聴こえます。
あくまでも「miss you」を肉付けする役割で、特に「血の管」は前後の「雨の日のパレード」の雨の雫が滴るリズムから心臓を脈打つようなリズムに取って代わり、「血の管」独特の生命の終末感を漂わせた後、「Party is over」の人間活動の終わりを匂わせるグラーデーションの流れは圧巻です。
このようなセットリストが組めるのもデビューから30年もの間、バラエティ豊かに、陰と陽を含んだ色彩豊かな楽曲を制作し続けたからこそで、ミスチルの凄さを感じます。
「ケモノミチ」の後に歌われる楽曲=ミスチルらしさ
アルバム「miss you」発売に伴い先行で発表された「ケモノミチ」はアルバムを象徴とする楽曲で、改めて聴いてみると邦楽、洋楽問わず今まで聴いたことのないような歌詞とサウンドに斬新さを覚えます。
風上に立つなよ 獣達にバレるだろ
そんな時代だったら 俺らとうに死んでる
誰にSOSを送ろう 匿名で書いた 鈍い痛みを
匿名で発信されるその不特定多数に向けられたSOSのメッセージ。
誰かに届いて欲しい、その願望を歌った楽曲は不特定性であるにせよ、ラブソングのように感じます。ただそれに夢中になりすぎた故の無防備さも歌っていて、さらに報われない「miss」状態が続くさまを表現してるようです。
その現代病とも言える状況をシンプルなバンドサウンドで、壮大に歌う楽曲は異彩を放ち、2023年のベストソングのひとつに数えられると感じました。
この「ケモノミチ」はアルバム「miss you」で表現された起承転結のまさしく「転」にあたる楽曲で、アルバムでは次の「黄昏と積み木」「deja-vu」「おはよう」で、アルバムを締めくくる「結」へと向かいます。
その「黄昏と積み木」の出だし、桜井さんの声と田原さんのギターに安堵を覚えた方が多いのではないでしょうか。いわゆる「ミスチルサウンド」そのもので、これを聴くために「I MISS YOU」から「ケモノミチ」までに表現する、年齢を重ねた故の孤独や喪失感、衰え、終末に至った先の「I FOUND YOU」を歌ったように感じます。
アルバムで表現したかったことはその2つの世界観で、「ケモノミチ」以降の楽曲は今までのミスチルサウンド故に、LIVEでは「黄昏と積み木」を演奏する必然性がなかったのではないでしょうか。
LIVEでは「365日」「記憶の旅人」を演奏しますが、そこで「しるし」「口笛」「祈り 〜涙の軌道」に取って代わっても違和感がなかったと感じます。とはいえ、「365日」はLIVEのハイライトシーンのひとつなのでそのセットリストに異論はありませんが。
50代で感じること、その表現
アルバム「miss you」について、個人的には過去のミスチルアルバムのなかでもベスト3には入ります。
その最大の理由はアルバム全体のメッセージ性が明確で、それを表現するための無駄を排斥したアルバム曲であると感じるからです。
前述したとおり、「I MISS YOU」から「ケモノミチ」までは、「Fifty’s map ~おとなの地図」で代表されるように50代を迎えて年齢を重ねた故の孤独や喪失感、衰え、終末に至った先の出来事や感情を表現します。その状況でも目の前にいる愛する人がいる偶然性と、必然的に述べられた感謝を歌った「黄昏と積み木」「deja-vu」「おはよう」を聴くと毎度感動するのは、そのメッセージ性が明確なる故で、さらに楽曲の主人公が50代でまとまっていて、「永遠」「靴ひも」などの青々しさを排斥している点に無駄を感じません。
アルバムでは等身大のミスチルを主人公として、今50代の真っ只中の人に限らず、これから50歳を迎える人、もう迎えた人全員が想像として、記憶として響くアルバムであると。
そんなアルバムを体現したツアーであるため、ミスチルのアニバーサリーツアーのような華々しい、陽のようなLIVEではなく、内省的な陰の要素が多いです。それを象徴するかのように桜井さんはステージを所狭しと駆け上がる回数は少ないです。
それでも「未完」の間奏中に語ったMCや、その後に続く「終わりなき旅」で否応無しにLIVEのメッセージを受け取ることができて、感動せずにはいられません。
「未完」の間奏途中のMC
2年前に「半世紀へのエントランス」ツアーを敢行して50周年に向けて動き出したMr.Childrenですが、いつくたばるか、いつダメになるかは分からないです。
それでもこのようにLIVEをしてみんなの表情を見ると、背中に心に羽をつけてくれてその目的まで羽ばたかせてくれる気がします。
僕らの奏でる音楽でみなさんの心にも羽をつけられるような、そんな後押しが出来ることが僕らの願いです。
1日でも2日でも、1週間でも1ヶ月でも、1年でもそれが長く続くことを願っています。
もし目的地を見失ったり、羽を見失ったとしたらまたここでお会いしましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
LIVE配信を見て、各々感じることが多かったのではないでしょうか。
ミスチル自身がアルバムや楽曲、ツアーについてあまり多くを語らないが故に、受け手の感受性に委ねられ、幅を持たせていると思われます。
それでも「未完」の間奏中に語ったMCのメッセージは強く印象に残り、ミスチルとともに歩む人生、それが終盤に差し掛かっていることを暗示していて、その有限性を感じるLIVEだったのではないでしょうか。
